生活習慣病と目の病気
生活習慣病と目の病気について
生活習慣病とは、食生活や運動、飲酒、喫煙、睡眠やストレスなど、さまざまな生活習慣が原因で発症する病気の総称です。特に動脈硬化や高血圧、糖尿病などを放置した結果、合併症に伴う重大なダメージが目に及ぶ恐れがあります。視力低下や失明を防ぐには、生活習慣病の早期発見・早期治療が重要です。
生活習慣病との関わりが大きい目の病気
糖尿病網膜症
眼の一番奥、眼底には網膜という神経の膜があり、多くの毛細血管があります。糖尿病の患者さんの血液は糖が多く、その多過ぎる糖が網膜の毛細血管の壁を傷つけるため、血液の流れが悪くなり、毛細血管を詰まらせて網膜に酸素や栄養素が不足し、糖尿病網膜症の原因となります。
糖尿病網膜症は、日本人の中途失明の原因の第2位で、日本でこれが原因で失明する方が毎年3,000人とも4,000人とも言われています。この病気は糖尿病の3大合併症の1つで、特にこれといった自覚症状もなく進行し、気付いた時には失明の一歩手前といったこともよくあります。
また、糖尿病患者は激増しており、40歳以上の3人に1人といった割合ですので、糖尿病のある方は勿論ですが、病気のあるなしに関わらず、専門の知識を持った眼科専門医により、年1、2回は眼底検査を受けることがこの病気を防ぐ最善策といえます。是非お早めにご相談下さい。
加齢黄斑変性
加齢黄斑変性とは、網膜の黄斑に老化現象が生じる病気です。視力が低下し、視野の中心が暗くなり、ものが歪んで見えるときもあります。加齢黄斑変性の原因は主に加齢ですが、紫外線による暴露や遺伝の他に、喫煙、栄養バランスの偏った食生活、肥満、高血圧などといった、生活習慣病としての側面も有しています。
網膜静脈閉塞症
網膜には動脈・静脈が張り巡らされており、網膜が正しく機能するために必要な酸素や栄養素を届けています。しかし、網膜の静脈が閉塞する「網膜静脈閉塞症」を発症すると、血液の流れが滞り、網膜出血が起こります。酸素や栄養を網膜に供給できず、閉塞が黄斑部にかかると黄斑浮腫を生じて視力が下がってしまいます。さらには新生血管が発生し、それが原因で硝子体出血や新生血管緑内障を起こすこともあります。発症の主な原因は、高血圧や脂質異常症に伴う動脈硬化だと考えられています。
目の検査で生活習慣病の早期発見を
40歳を過ぎたら、最低でも年に1回以上は眼底検査を含める定期検診を受けましょう。眼底検査では、目の奥の血管や神経の状態を明らかにできます。緑内障や失明につながる恐れのある目の病気、動脈硬化などの早期発見が期待できます。これらの眼科疾患は、会社での健康診断や特定健診だけでは発見できないため、自発的な受診が大切です。